Search
Library
Home / 恋愛 / 強引な後輩は年上彼女を甘やかす / 04_6 初デート 姫乃side

04_6 初デート 姫乃side

Author: あさの紅茶
2025-06-22 05:21:10

「博物館よく来るの?」

「たまにね。好きなんだ、こういう雰囲気。昔の息吹が感じられて、その時代の一コマを現代から覗き見ている感じ。すごく好き」

小さな出土品、欠片ひとつとっても、何百年何千年前に生きていた人が使っていたものなんだと思うと、不思議な気分になる。どんな人が使っていたんだろう、どんな風に使ったんだろう、そもそもどうやって作ったのだろう、色々と想像が膨らんでワクワクするのだ。

「ふーん。覗き見って、姫乃さんエロいね」

「ちょっとそういう意味じゃないよ」

私が妄想に耽っていると、樹くんはニヤニヤとからかってきた。

エロいって、失礼な。

「わかってる、わかってる」

そう言う樹くんの顔はまだニヤニヤしていて、なんだか意地悪だ。

「もう、またからかって。樹くんなんて知らないんだから」

私は子供みたいに頬を膨らませてぷいっとそっぽを向き、樹くんを置いてさくさく歩く。エロいとか、絶対樹くんは私を揶揄ってる。

「ごめんって。ごめんなさい。姫乃さん機嫌直して」

樹くんは焦った感じで私を追いかけて来るや否や、腕を軽く引っ張ってくる。

私は樹くんから顔を背けたままだ。

「姫乃さん?」

心配そうな声で伺いを立てるものだから、何だか可愛らしく感じてしまって、逆に私は意地悪くニヤニヤと笑った。

「怒ってないよーっだ」

ガバッと顔を上げて笑って見せると、樹くんは驚いた顔をして固まった。

私を揶揄った罰なんだから。

「樹くん、びっくりした?」

「……うん」

思った以上に効果ありで、私は嬉しくなる。

「えへへ、大成功~」

今度は樹くんが頬を膨らませてそっぽを向いた。

「……その笑顔は反則でしょ」

「え? なになに~?」

ボソボソと呟く声が聞き取れなくて聞き返すも、

「なんでもないですっ! さ、行きますよ」

怒ってるのかよくわからない態度のまま、樹くんは私の背を強引に押して常設展へ入った。
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP